「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状で考えられる病気と対処法
感じ方は人それぞれですので、微妙な言い回しは異なりますが、「空腹を感じるので食べてみると気持ち悪くなる」という症状を、しばしば患者様から耳にします。
食べたものが口に合わないといった単純な理由でれば心配ありませんが、食べると気持ち悪いという症状が何日も続く場合、あるいは治まっても繰り返される場合には、背景に何らかの病気がある可能性を考えます。
お腹が空くのに食べると気持ち悪くなる症状の特徴と原因・治し方
空腹を感じ食べてみると気持ち悪くなる、といった場合にまず疑われるのは、「胃食道逆流症(GERD)」です。
食後の胸やけ、胃のむかむか感、呑酸などの症状が見られます。
治し方
主に胃酸の分泌を抑える薬を使った薬物療法と、生活習慣の改善が必要です。生活習慣の改善においては、胃酸の分泌を促す脂っこいもの、甘いもの、刺激物・アルコールを控える食事療法が中心となります。肥満の方は、運動療法と組み合わせた減量も必要になります。
また、就寝時には余っている布団を使うなどして、やや上半身を高くして胃酸の逆流を防ぎます。
お腹が空いても気持ち悪くて食べたくない症状の特徴と原因・治し方
空腹を感じるけれど気持ち悪くて食欲が湧かないという場合には、「胃・十二指腸潰瘍」の可能性を考えます。胃痛、胸やけ、胃もたれ、吐き気などの症状が見られます。胃潰瘍の場合は食事中や食後すぐに、十二指腸潰瘍の場合は空腹時に胃痛が出るのが特徴です。
治し方
胃酸の分泌を抑える薬などを使用した薬物療法、生活習慣の改善が必要です。消化が悪く胃酸の分泌を促進する食事、アルコール、カフェインはできる限り避け、規則正しい生活を守り、十分な睡眠をとります。
またピロリ菌検査を受けて陽性であった場合には、除菌治療が必須です。
食後に胃が気持ち悪くて吐き気がする症状の特徴と原因・治し方
食後に胃が気持ち悪くなり、吐き気などの胃の症状がある場合には、「機能性ディスペプシア」を疑います。胃カメラ検査などを受けても器質的な異常が認められないという特徴があります。
治し方
胃酸の分泌を抑える薬、胃の働きを改善する薬などを、症状に応じて処方します。 機能性ディスペプシアの根本的な原因は解明されていませんが、関連が指摘されている飲酒、喫煙、睡眠不足などがある場合には、その改善も必要です。
また、ピロリ菌検査で陽性だった場合には、除菌治療によって症状が改善することが期待できます。
つわりでお腹が空くのに食べると気持ち悪い症状の特徴と対処法
つわりによって、空腹で食事をとると気持ち悪くなることがあります。妊娠5週~20週くらいにこのような症状が出た場合には、まずつわりを疑います。
対処法
身体とともに、心もゆっくりと休めましょう。また普通の食事が摂れない場合にも、フルーツ、そうめん、パン、ゼリーなどは比較的食べやすいと言われています。また水分も、小まめに摂取してください。そういった食事、水分の摂取さえ難しい場合には、点滴が必要になります。
受診をした方がいい「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状
軽いものであっても何らかの症状が出ている時、心配になった時には、お気軽に当院にご相談ください。
空腹でも食事が全く取れない場合は、消化器内科へ
一食を抜いたくらいでは、通常健康にはほとんど影響はありません。しかし、二食、三食と続けて食べられない場合、あるいは何日も少量しか食べられないという場合には、お早めに当院にご相談ください。
また遠方で当院の受診が難しい場合も、胃カメラ検査に対応している消化器内科の受診をおすすめします。正確な診断と適切な治療のためには、胃カメラ検査は必須と言えます。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」症状が特徴的な病気・疾患
胃潰瘍
ご紹介した中でも、もっとも代表的な病気・疾患と言えるのが「胃潰瘍」です。
胃潰瘍は、ピロリ菌の長期感染、非ステロイド性抗炎症剤の飲み過ぎなどを主な原因として、胃粘膜にびらんや潰瘍を形成する病気です。
食事中や食後すぐの胃痛、胸やけ、胃もたれ、吐き気などの症状がよく見られます。また重症化した場合には、嘔吐、吐血、黒色便(タール便)などを引き起こすことがあります。 診断には、胃カメラ検査が必要です。当院では、鎮静剤を用いたほとんど苦痛のない胃カメラ検査を、内視鏡専門医が実施します。
胃カメラ検査を受けたことがない、以前に受けた胃カメラ検査が辛かったという方も、安心してご相談ください。
「お腹は空くのに食べると気持ち悪い」ときに飲んでも良い市販薬・胃腸薬は?
すぐに医療機関を受診できない場合には、ファモチジン錠、H2ブロッカーなどの市販薬が有効になることがあります。
ただし、これらの市販薬の内服は、あくまで対症療法です。根本的な治療のためには、検査による病気の診断、原因の特定の上で、薬物療法や生活習慣の改善を行っていかなければなりません。
市販薬を使って症状が改善しない場合はもちろん、症状が一時的に改善した場合も、必ず消化器内科等の医療機関を受診するようにしてください。